認知科学から見た将棋

 私の趣味の1つに将棋があるんですが、強い人は頭の中に将棋盤-俗に言う脳内将棋盤-を持っているという話をよく聞きます。
 その疑問についてひとつの答えらしきものを発見しました。
 それは、アマトップクラスに迫る―コンピュータ将棋の進歩〈5〉の第4章「将棋の認知科学的な研究」です。
 この中で、初心者(アマ8級程度)、中級者(アマ三段程度)、上級者(プロ八段)に対してある一局面を記憶させて、それを再現する実験を行っています。
 その結果は・・・、


 再現率については差がありませんでしたが、
・初心者-目線の軌跡は盤全体に残り、全体において記憶時間はかなり長かった。
・中級者-目線の軌跡は盤全体に残っていたがその頻度は初心者よりも少なく、序中盤は記憶時間は短かったが、終盤に行くにつれて記憶時間は長くなった。
・上級者-目線の軌跡は盤中心部のみにしかなく、どの局面においても記憶時間は短かった。
という結果でした。

 次に記憶時間を固定(10秒・5秒・3秒)し、同じテストを行うと・・・
・初心者-序盤70%、中終盤50%(ここでの100%は駒40個を40個全て再現できたことを意味する)
・中級者-序中盤95%以上、終盤70%
・上級者-序中盤95%以上、終盤90%
・全くランダムな駒配置の場合は再現率は全体的に変わらず50%程度だった
という結果でした。

 これらの結果から、上級者は局面をひとつの塊(chunk)としてとらえているということみたいです。
 以前からそういう要素はあるとは思っていましたが、この論文を見てその思いをより強めました。

 そこで、私も詰将棋を頭の中に解くことで少しでも脳内将棋盤を作ろうと努力をしてるんですが・・・( ゚-゚)遠い目。。。
 私のように訓練ではなく、本当に子供の頃から自然に形成されないとダメなんでしょうね・・・( ゚-゚)遠い目。

 また、この本の第五章ではコンピュータ将棋の未来への心構えについて書かれています。
 この中では、コンピュータ将棋に対する人間の対策として、
・コンピュータ将棋は秒読みに強く、時間の使い方に注意
・可能手・枝分かれの多い局面を選択する
・終盤で競う展開にしない
・長い手順で有利になるような展開を選ぶ
・定跡から逸脱する局面にする
等が有効ではないかと書かれています。

 しかし、現実問題としては、
・現在のコンピュータ将棋に勝つことの出来る人間はプロ棋士を含めて500人程度で将棋人口の0.01%程度(前書きから)
があり、小手先では勝てそうにないとの見解もまた事実でしょう。

 そんな現実もありますが、私は今日も将棋ソフトに挑戦を挑むのでした・・・( ゚-゚)遠い目。

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 コンピュータ将棋の進化について書かれた本で、第5弾です。
 コンピュータ将棋についての記述が主ですが、裸玉の詰将棋作成や将棋の棋力と人間の認知力との相関関係などに関する記述もありますので、一度読んでみてはどうでしょうか?

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    Excerpt: お父さんも楽しめる科学的おもちゃを集めてみました。 全ておもしろいものばかりです。今後も随時見つけ次第追加していきます。 Weblog: 科学 racked: 2006-04-22 23:20